近視の診断と経過
近視の診断
健康診断などでは、視力表を用いて視力を検査する。これは裸眼視力といって、めがねやコンタクトレンズをしていない状態での視力で、屈折の異常を判断するもので、あまり精密な検査とはいえない。正確に屈折の異常を測定するためには、調節を休ませた状態でなければならず、子供の場合は特に、調節を休ませることは難しいのが現実である。
あくまで目安であるが、1.0以上見える場合を正視、それ未満を屈折異常と判断する。しかし屈折異常を正確に調査するためには、水晶体の厚みを変えて、調節をつかさどっている毛球体筋を一時的に休ませる目薬をさした上で調べる必要がある。
小さな子供の場合、調節を休ませることは難しいため、レフラクトメーターという器械や検眼鏡とレンズとの組み合わせによる検影法という屈折検査で判定する。この検査を用いれば、視力検査ができない小さな子供の場合でも、目の度数を測定することが可能になる。
近視の場合、視力回復のための治療には手術もあるが、確実なのはめがねとコンタクトレンズである。それ以外の矯正方法は確実でもないし、また安全性も確立されていない。
ではいったいどのぐらいの近視からめがねやコンタクトレンズが必要なのだろうか?視力による規準で考えると、教室で黒板の字を読むためには、前からまんなかあたりの席までは0.7程度の視力があれば良いといわれているから、0.6以下になったら、一応めがねを用意したほうが良いかもしれない。いずれにせよ、小学校の高学年程度なら、見るのに不便という自覚症状があったときにめがねをかければ良いだろう。
近視の経過
読書や勉強で近くのものをみる作業が続くと、一時的に近視の状態になるという説を「仮性近視」あるいは「偽近視」と言うが、これは日本独自の考え方で、現在は否定的にとらえられている。以前は、仮性近視に対する治療として、調節麻痺薬という薬を夜寝る前に点眼し、毛様体筋を休ませる方法がかなり広く行われていた。しかし薬の効果が疑問視され、現在では、健康保険の適応外となっている。また、調節麻痺薬は使用法を誤ると、緑内障を誘発する危険がある。
近視が改善したかどうかは、視力の回復ではなく、ジオプターという屈折度の単位で正確に測って比較する必要がある。これまでの報告ではこの測定が不十分だったことから、信頼性に欠けると判断されていた。
近視は遺伝的要素が大きく影響するから、本を近づけて読まない、暗いところで目を使わない、といった目の健康法を採り入れた生活をしたとしても、近視になる人はなる。むしろ目が悪くなるから目を使わないようにする、というのは逆効果である。子供の目の発達から考えると、自然に行う「ものを見る」という訓練は視力の発達に必要である。
また、子どもの頃に近視が始まるのがほとんどであるが、20歳を過ぎれば近視はさほど進まなくなるので、過剰な心配は不要である。20歳〜25歳で屈折状態の変化は止まり、近視の度の進行もこの前後で止まるのである。屈折状態の年齢分布を見ると、就学前の幼児や小学校低学年の間は、遠視が多いのが現実である。学年が進むにつれて近視の割合が増えてくる。